浜田知明室 第3期「黄土地帯」

浜田知明《初年兵哀歌(廟)》 昭和29(1954)年 熊本県立美術館蔵
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第3期の浜田知明室では、「黄土地帯」をテーマとし、生涯浜田の脳裏から離れることがなかった華北の風景が描かれた作品をご紹介します。
日中戦争中に軍に入隊した浜田は、1940年に山西省南西部に派遣されます。「黄土地帯」「黄土高原」とも呼ばれるその地で浜田が見たのは、荒涼とした大地や、そびえ立つ崖や城壁。詩情を誘うその土地は浜田の気に入るところとなりますが、そこは戦争の理不尽と暴虐が繰り広げられた場でもありました。
戦後、その光景を銅版画として作品化するとき、華北地域の乾燥した風土は、画面に鋭く冷たい空気を与えようとした浜田の表現意図に適した「舞台」であったと言えるでしょう。
※今回の展示では、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、出品点数を5点とし、通常よりも作品同士の間隔をあけております。